文字組み

文字を組みあげる作業を「文字組み」と言います。文字組みの指定ひとつで読みやすさ、わかりやすさが劇的に変化するため、文字組みを左右する要素を複合的に判断することが必要です。その要素とは何か?その基本とは?私たちがこだわる文字組みの思想や紙面設計をわかりやすくお伝えします。

読みやすさを左右する4つの要素

文字の読みやすさは、①書体とそのウェイト(太さ)、②文字サイズ、③行長、④行間の4つの要素で決まる。それぞれの要素を変更して、見え方を比較してみる。

書体とウェイトを変更

文字組みを変更(縦組みと横組み)

級数を変更

行長と行間を変更

※ 縦組みか横組みかは自ずと決まるが、ほかの要素は書籍の性格を考えて、慎重に検討する必要がある。

文字の変形とその効果

文字の変形も紙面のイメージを大きく変える要素だ。正体とは、文字に何も変形を加えない状態のことだが、縦比率や横比率を変えて文字を変形させることがある。限られたスペース内において、横組みに平体をかけると、行数が増える。縦組みで長体をかけると、行数が増える。スペースを変えずに、文字数を増やしたい場合にも有効なテクニックだ。適度な変形は、読みやすさを増加させるが、過度な変形は書体が持つデザイン性を損なうので注意が必要。左図のように、長体1、長体2、平体1、平体2…などと指定する。1は90%、2は80%の意味。

文字ツメの効果

まったくツメ処理を行わないベタ組み。字間を均等に詰めるツメ組み。ツメ組みには、均等ツメと調整ツメがあり、均等に詰めるか、あるいは前後の文字に合わせてツメを調整するかの違いがある。また均等ツメには、同じ量を詰める「均等ツメ」と同じ量を空ける「均等アケ」がある(下図参照)。一般的に「ツメ組み」は文章の可読性を高めることが可能となるが、それぞれに効果は異なり、使い分けには一定のルールがある。

書体と組み方向で変化するツメの量

漢字やかな、数字などが混在する和文組版では、組みの方向や書体でツメ量は変化する。和文では一般的にかなだけを詰めるが、もともとかなは縦書きを意識して設計されているだけに、あえて詰めることは多くない。むしろ横組みでのツメは必須。字面の異なる書体では、字間のスペースも大きく異なるからだ。

アプリケーションによるツメ機能

調整ツメは、アプリケーションに備えられている文字ツメ機能を使うと便利だ。以下、InDesignCS 上で①プロポーショナル・メトリクス機能使用、②調整ツメ組み(オプティカル+文字ツメ)、③手動のツメを比較したので、可読性の違いを実感していただきたい。なお、書体やサイズ、行間などが変わればツメ量も変わるので、最終的には、見た目による調整が不可欠。

本文の組版には手詰め(デザイナーの手動のツメ)することはなくInDesignの自動のツメ機能を使用する。装丁・表紙や雑誌の特集見開きの大見出しなどは手詰めをし、微妙なニュアンスを表現する。

本文 : A-OTF 秀英明朝 L (モリサワ)14pt 行送り25pt
小見出し : A-OTF 秀英明朝 B(モリサワ)26pt
キャプション : A-OTF ゴシックMB101ProR11pt

編集:吉田秀次
デザイン:漆崎勝也
企画・発行・印刷:朝日メディアインターナショナル株式会社

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